突然やってくる地主の立ち退き要求
借地権に関連するトラブルとして、地主さんからの立ち退き要求に対して、どのように対応すれば良いか?というのがあります。旧法借地権での契約では地主側に正当事由がない限り、借地人に立ち退きを強制することはできません。
正当事由とは?
- ■地主・借地人共にその土地の使用を必要とする正当事由
- ■それまでの借地契約における従前の経過→地代はこれまでしっかりと支払いつづけてきたか、支払いの延滞・不払いなどがないか、更新料などの授受など
- ■土地の利用状況→建物が存在しているか、使用用途(居住用・事業用などを勝手に変更していないか)、建築基準法に反するような
- ■明け渡しと引き換えに地主側が立ち退き料の支払いを申し出ている
つまり、借地権付き建物が存続している状態かつこれまで地代の支払いや更新料などもきちんと地主に支払いをしてきた、これからもその借地権付き建物に居住をしたいと考えている、こういった状況下では地主側の申し出は通らず借地権者側が保護される可能性が高いと言えます。
地主側が有利となる場合
地代支払いの延滞や不払いが発生しているケース
→何ヶ月という明確な規定はありません。一般的には半年~1年程度の未納がある場合に借地契約を解除することができると言われております。中には2ヶ月で認められた判例もあるようです。
無断で建て替えや増改築を行った場合
→土地賃貸借契約書に「建て替えや増改築禁止の事項が記載されている場合」は、地主の承諾が必要となります。また建替え承諾料や増改築承諾料が発生します。地主の承諾を得る事なく無断で建て替えや増改築を行った場合は、借地権解約の要因となるので注意が必要です。
無断で第三者に借地権を売却・譲渡及び転貸した場合
→借地権を売却する際は必ず地主の承諾が必要となり、譲渡承諾料が発生致します。親族への贈与の場合も地主の承諾及び譲渡承諾料が発生するケースがありますので、注意が必要です。
※契約解除までとするのは妥当ではないとの判例が出ておりますが、地主の承諾は必要です。地主さんとの信頼関係こそが借地契約においては、一番大事なので契約不履行と思わせない・言わせない為の行動が求められます。
明け渡しが必要となる借地権
平成4年8月1日から施行された「定期借地権」「事業用定期借地権」「建物譲渡特約付借地権」といった種類の借地権では、借地権の契約満了と共に地主側に返還する内容となっております。
それまでの旧借地法では地主側が不利となってしまうことが多く、返らずの土地をなくし借地の普及を進める目的で新たに成立された法律です。
関連項目:【借地権の売却・売買・譲渡】売却先の候補や流れを解説!
監修者:ドウスル株式会社 代表取締役 村田 大介