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共有持分は時効取得できる?一番わかりやすい解説と対処法

共有持分は時効取得できるのか?

共有持分は、条件さえ満たせば時効取得することができますが、実際にはかなり要件が厳しく設定されています。
時効取得を簡単に説明すると、本来の所有者ではなくても長い間住み続けることによって、本来の所有者になれる制度のことです。

その他 物件種別

例えば、両親から相続で引き継いだ不動産について、次のような困りごとが発生した方はいないでしょうか?

「売却しようと思って登記を調べてみたら、実は共有持分だった。売却しようと思っていたけど売却できる?」

時効取得が認められれば、所有者として物件を自由に使用したり売却したりすることができますが、認められなかった場合には、共有権者との間でトラブルになってしまうことも考えられます。

トラブルを避けるためには、時効取得できるかできないかを最初に考えて、できなかった場合の対策を考えておくことが重要です。

今回の記事では、共有持分の時効取得の解説と対策を、どこよりも分かりやすくお伝えします。

そもそも不動産の時効取得ってどんなもの?

「時効」は、刑事ドラマや推理サスペンスなどの刑事事件の場面でおなじみですが、不動産の所有権などの民事の場面でも、時効が問題になることがあります。

典型的な例は、次のような場面です。

「自宅の敷地だと思って長年使用していた土地の一部が、調べてみたら実は隣家の方の所有地だった」
「代々、相続登記をせずに家族で不動産を引き継いできたが、実際の所有者が分からないまま、身内の1人が不動産を実際に使用し続けている」

これらのケースでは、実際に不動産を使用している人は、法律上は権利者ではありません(不動産登記がされていないため)。
従って、本来のルールであれば、本来の持ち主に対して返還しなければなりません(本来の持ち主が分からなくなっているときには、持ち主を探し出す作業も必要とされます)。

しかし日本の法律では、実際に所有権を持っていなくても不動産を長年使用してれば、不動産を正式に取得できるという制度があります。

この制度こそが、不動産の「時効取得」です。

ただし、不動産の時効取得が簡単に認められてしまうと、不動産本来の権利者の利益を大きく損ねてしまいます。

極端な例ですが、時効取得を全て認めてしまうと、他人が勝手に自分の土地に居座ったうえに「この土地は自分の土地だ」と乗っ取られてしまう、といったこともありえます。

従って、不動産の時効取得には条件が設定されています。
一般的な不動産において、不動産の時効取得が認められる場合の条件は、次の通りです。

民法第162条
1. 二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
2.十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。

法律の条文は、文面が少し固いのでかみ砕いて解説します。

①所有の意思を持って
「所有の意思を持って」とは、自分のものだと思っていることを指します。
つまり、他人のものだと分かっていて、勝手に居座っている場合には、時効取得は認められないということになります。

②平穏に、かつ公然と
暴力をしたり、暴言を吐いたりせず、なおかつ隠すことなく「自分の不動産である」として不動産を使用することです。
自然に、不動産を所有している状態が重要です。

③時効取得が認められる期間
時効取得が認められるまでの期間としては、2種類あり「10年間」もしくは「20年間」です。
10年となるのは、不動産の使用者(占有者)が占有開始の時期に、不動産が他人の物であることを知らなかった、なおかつ、過失がなかった場合です。

→「過失がある」とは「固定資産税を支払っていないなどのように、所有者ではないことが明らかな状況であるにもかかわらず、不注意などにより、自分の不動産だと勘違いしてしまった」といった場面が想定されます。

占有開始時期に、不動産が他人の物であることを知っていたり、過失があったりした場合は、時効取得が認められるまでに20年間かかります。

これらの条件が全て揃ってはじめて、事実上の不動産の所有者は、法律的にも所有権を主張できる可能性があるということです。
→時効取得の要件を満たして、登記移転手続きを完了することにより、正真正銘の所有者となることができます。

※登記とは
不動産登記は、不動産の所有者をはっきりさせるために記載する、不動産の名簿のようなものです。
登記簿により所有者をハッキリさせることで、不動産取引がスムーズに行われます。

共有持分でも時効取得できるの?

「登記上は他人の不動産でも、事実上長い間占有していれば、所有権が認められる」というのが不動産の時効取得ですが、共有持分であっても、時効取得は可能なのでしょうか?

というのも、共有持分の不動産は、実際の使用者と登記簿上の所有者が異なってしまうケースが多いので、時効取得ができるかできないかが問題になるケースがかなり多いのです。

この章では、共有持分について時効取得が「できるのか?」「できないのか?」について詳しく解説していきます。

時効取得できることもあるが要件が厳しい

共有持分は、1つの不動産を複数の人で共同所有する際の、権利の割合のことです。
共有持分の場合に時効取得が認められるかどうかについては、要件さえ満たせば時効取得は可能です。

共有持分は、1つの不動産を複数の人数で所有しているという、少し特殊な状態ではありますが、所有権を持っているという状態に変わりはないからです。

ただし、共有持分のときに時効取得ができる要件を満たせるかどうかといえば、少し難しい場合があります。

〇自分自身の不動産だと信じているかどうか?
→共有持分の場合には、例え単独で使用していても、他の共有権者がいることを認識しているケースが多いです。
例えば、親や祖父母の共有持分を、子どもや孫が共有持分であることを知らずに相続して、そのまま住み続けたというケースであれば「所有の意思」が認められます。

〇固定資産税の支払いをしているか?
→自分自身の物件だと信じて住んでいることを客観的に示すものとして、固定資産税の支払いがあります。
固定資産税を全額負担しているというケースでは「自分自身が所有する不動産」だと信じて、所有していることを主張する材料になりえますが、他の共有権者が一部支払いをしている場合は、自分自身のではないと認識していたとみなされる可能性が高いでしょう。

共有持分の不動産についての時効取得を主張するためには、これらの事実を客観的に主張し認められなければならないので、一般の不動産よりも時効取得が認められにくい傾向があります。

共有持ち分の時効取得を主張するための要件

おさらいにはなりますが、共有持分の時効取得を主張するために必要な要件について、考えてみましょう。

時効取得が認められるには、以下の条件を満たしている必要があります。

  • ①不動産が、自分自身の所有物であると信じていること
    (共有持分を相続したときは、その不動産が被相続人のものであったと信じていること)
  • ②不動産が共有の物であることを知らないこと
  • ③固定資産税を全額支払っていること
  • ④10年もしくは20年以上、使用し続けていること(賃貸物件として貸し出しをしている場合は、その賃料の収入や修繕費用などを全て自分で管理していること)

時効取得を主張するためには、ただ長期間占有していればよい、というものではないことを把握しておきましょう。

共有持分が時効取得できない時はどうしたらいいの?

実際に長い間使用していて、固定資産税なども全て負担しているにもかかわらず、時効取得が認められなかったら、やはり不公平な感じがしますよね?

しかし、時効取得には厳しい要件が定められているため、そのような状況が起こる可能性は十分にあります。
では、共有持分が時効取得できない時にはどうしたらいいのでしょうか?

この章では、2つの方法について案内します。

他の共有権者から権利を譲ってもらう

将来的に、長く不動産を使用し続けたい場合の理想的な対応は、他の共有権者から権利を譲ってもらう方法です。

特に、他の共有権者が実際に不動産を使用しておらず、固定資産税の負担もしていないようなケースであれば、共有持分を譲ってもらえる可能性は十分にあります。

ただし、全く「何もなし」で、というわけにはいかない可能性が高いです。
互いの関係性や物件の状態などにより、相場よりも安くしてもらえるケースは多いですが、実質的には、他の共有権者から権利を買い取る、といったイメージです。

共有持分を売却する

「共有持分を譲ってもらおうにも、手元にまとまった現金がない」
「物件を使用したいのではなく、手放して代わりに家を建てたい」

これらの要望をお持ちの方は、共有持分の売却という選択肢があります。

共有持分の売却とは、共有持分の買取を専門に対応している、不動産業者に共有持分を買い取ってもらうことです。

共有持分の買取を依頼すれば、他の権利者に同意を得る必要もなく、スムーズに不動産を売却することが出来ます。
買取の相手は共有持分の専門業者なので、トラブルが発生する可能性も低く、起こりうる様々な手間も回避できます。

専門の買取業者での共有持分の売却については「共有持分の売却は専門買取業者へ!買取の流れ・注意点を解説 」の記事にて詳しく解説しているので、興味のある方はぜひ参考にしてください。

まとめ

他人の不動産であっても、自分のものだと信じて長く使用し続けた場合には、時効取得が認められます。

「一部が他人の土地」という意味において、共有持分も本来は自分の土地とは言い切れないものです。そして共有持分の場合も、自分の土地だと信じて所有・使用し続けた場合には、時効取得が認められる可能性があります。

ただし、実際に時効取得が認められるかどうかは、ケースバイケースです。

相続の際に、登記移転手続きがされずに何世代も受け継がれてきた場合には、共有権利者が10人以上に膨らんでいるといったケースもザラにあります。

共有持分の時効取得を主張したいときには、時効取得が認められなかったケースを想定して、ご自身にとってベストな対策を検討していきましょう。

そして、もし時効取得が出来ない場合の対策としては、買取専門業者にご自身の持分を売却するのも一つの方法です。

持分を売却した場合、他の権利者の同意を得ることなくご自身の持分のみをすぐに現金化できるので、他の不動産を運用したり、資金のやりくりをしたりする際にとても便利です。

監修者:ドウスル株式会社 代表取締役 村田 大介

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